スギは自然に生えたものではなく、人間が植えたもの
花粉症の原因となるスギやヒノキは「自然に生えている木」ではなく「人間が植えたもの」です。
もし、スギが「自然に生えている木」ならば、それを切るのは自然破壊だ、というのも分かります。でも実際は、スギのほとんどは、人間が植えたものです。畑に植えられているキャベツやダイコンと同じです。キャベツを収穫することは、自然破壊でしょうか? 違いますよね。スギも同じなのです。人間が植えたスギを切ったところで、自然破壊ではありません。
そもそもなぜ、日本全国に、70億本ものスギやヒノキを植えたのでしょうか。
話は数十年前に、さかのぼります。戦争で焼け野原となった日本では、多くの人が家を失いました。そして、家を建てようにも、木材が無かったのです。そこで当時の日本政府は、材木として使うために、スギやヒノキの木を植えるよう勧めました。「スギを植えれば、お金をあげる」という政策を行なったのです。
画像引用「私の森.jp:拡大造林、そして現在の危機」
スギでもキャベツでも自動車でもそうですが、資本主義社会において、物がお金になるのは「売れた時」です。ですから生産者は、売れると思う以上の量は、作りません。
でも「作ればお金になる」となれば、どうでしょうか。いくらでも作りますよね。もし、キャベツの種をまけば1粒あたり100円あげる、となれば、そこら中に、まきまくるでしょう。キャベツを収穫して売ることなんか考えずに、とにかく種をまくでしょう。
スギも同じようなことになりました。スギの苗を植えればお金がもらえるのだから、何十年後かに売ることなど考えず、そこら中に、スギの木を植えたのです。
切って売ることを考えるなら「運び出しやすいところ」に植えますよね。すごく山奥に植えても、スギの木を切って、大きな丸太を運ぶことは難しいですから、普通は植えません。でも「植えればお金がもらえる」なら、場所など構わず、どこでも植えます。
結果として、日本中の山に、スギとヒノキが植えられたのです。運び出せない山奥にまで、植えられています。自然界では、スギというのは、そんなに生えているものでは、ありません。ドラえもんの「学校の裏山」には、一本杉が生えているでしょう。あのように、山にポツンと生えているのが、自然のスギなのです。
現在、日本には約70億本のスギ・ヒノキがありますが、そのほとんどは人間が植えたものであり、これらのスギは、むしろ自然環境を破壊しているのです。
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